【軍事】「新型コロナ危機の悪用」と非難高まる中国軍の動き　南シナ海で活発化 [みんと★]

世界が新型コロナウイルスの対応に追われる中、中国が周辺国と領有権を争う南シナ海での動きを活発化させている。4月に入り、艦船の展開が目立つほか、18日には、海域を管轄する新たな行政区を設置すると発表した。ベトナムやフィリピンが中国に抗議し、ポンペオ米国務長官が23日、「挑発的な行為を続け、新型コロナによる危機を悪用している」と非難するなど、緊張感が高まっている。

　中国は南シナ海のほぼ全域を占める「九段線」の権益を主張し、ベトナムやフィリピン、マレーシアなどと領有権を争っている。

　中国は2012年に南シナ海の各諸島を管轄する自治体として海南省三沙市を設定し、実効支配の既成事実化を図っているが、今月18日、さらに同市の下に西沙（英語名パラセル）諸島を管轄する「西沙区」、南沙（同スプラトリー）諸島に「南沙区」を新設した。

　西沙区政府の所在地はウッディー（中国名・永興）島、南沙区政府はファイアリクロス（同・永暑）礁とした。いずれも中国軍機が発着できる空港を備え、軍事拠点化が進む場所だ。

　この海域では4月に入り、中国の直接的な行動が目立っている。2日には西沙諸島周辺で、中国海警局の船がベトナム漁船に体当たりして沈没させる事案が発生。中国海軍は13日、空母「遼寧」が南シナ海で訓練を実施したと発表した。ロイター通信によると、中国自然資源省の調査船が4月中旬、マレーシアの国営石油会社が開発を行う海域に現れ、探査活動とみられる行動をしたという。

　ベトナム外務省は中国側に抗議し、フィリピンのロクシン外相も22日、中国による行政区の新設に加え、中国軍からのレーダー照射について抗議したと明かした。現地メディアによると、2月17日、フィリピン軍艦が南沙諸島周辺で、中国軍艦から火器管制レーダーの照射を受けたという。フィリピンのドゥテルテ大統領は親中路線だが、南シナ海を巡る中国の行動に反発する国内世論の高まりを無視できなくなっている。

　一方、米海軍第7艦隊は22日、米豪両海軍が南シナ海で13日から合同演習を実施したと発表した。米国から強襲揚陸艦など3隻、豪からフリゲート艦が参加。米軍は感染対策で軍事行動の縮小を余儀なくされているが、中国に対する即応能力を示した形だ。

　中国は感染のピークを過ぎ、山積する課題に次々と着手している。南シナ海と共に米中の火種である香港問題でも、中国の出先機関「香港連絡弁公室」が17日、「中国政府の出先機関は香港事務への発言権を持つ」との見解を示すなど「1国2制度」を形骸化する圧力を強めた。

　中国国内では政府の感染対策への不満や景気悪化の不安が生じており、こうした動きには、習近平指導部が求心力を保持し、引き締めを図る狙いがあるとみられる。だが、中国が独自の主張を強めれば、感染拡大の責任を巡って不協和音が生じる欧米との溝がさらに深まる懸念がある。

毎日新聞 2020年4月26日 20時41分
https://mainichi.jp/articles/20200426/k00/00m/030/136000c

今なら、他の核保有国も文句言わねえだろ