【甲府殺人放火】当時19歳の遠藤裕喜被告（21）の初公判　責任能力が争点　被告は無言のまま

おととし10月、甲府市の住宅で50代の夫婦を殺害し家に火をつけたなどとして、殺人や放火などの罪に問われている当時19歳の被告の初公判が開かれ、弁護士は殺人と放火については認めたうえで、当時、心神耗弱の状態だったとして責任能力について争うと主張しました。

甲府市の定時制高校に通い、当時19歳だった遠藤裕喜被告（21）は、おととし10月12日、一方的に好意を寄せていた女性が暮らす市内の住宅に侵入し、女性の50代の両親をナイフで刺すなどして殺害し、妹をなたで殴って殺害しようとしたほか、家に火をつけたとして、殺人や放火などの罪に問われています。

25日、甲府地方裁判所で裁判員裁判の初公判が開かれ、被告は、起訴された内容が間違いないか問われたのに対し、何もことばを発しませんでした。

弁護士は殺人と放火については認めたうえで、当時、責任能力が著しく減退していた「心神耗弱の状態だった」と主張しました。

妹に対する殺人未遂の罪については、「殺意は無かった」として傷害の罪にとどまると主張しました。

続いて、検察は冒頭陳述で「精神鑑定の結果などから、完全責任能力に疑いはない。犯行動機と目的は、女性への強い恨みによるもので、計画や周到な準備をし、警察から逃げ切れないと考え出頭するなど、飛躍や不合理な点はなかった」と述べました。

一方、弁護側も冒頭陳述で「子どものころに父親や母親の再婚相手から体罰や虐待めいた扱いを受けるなど、複雑で厳しい家庭環境で育ったことが人格形成に影響している。爆発した感情がコントロールできずに事件を起こしてしまった」と述べました。

被告は事件当時19歳の「特定少年」で、検察が起訴の際に全国で初めて氏名を公表し、審理も実名で進められます。

被害者側については、名前など個人が特定される情報を伏せて審理が行われています。

裁判は責任能力の程度が最大の争点で、今後、被告への質問や精神鑑定を行った医師の証人尋問が予定されています。

被告は無言のまま
ドアが開いて法廷に入ってきた被告は上下黒いスーツ姿で髪型は丸刈りでした。

裁判の冒頭で、証言台に立つよう裁判長にうながされた被告は、うつむくように視線を下げていました。

裁判長が名前や生年月日を尋ねましたが答えず、このあとも、「検察官が読み上げた事実に間違っている点はありませんか」などと繰り返し問われましたが、無言のままでした。

被告の弁護士が座る席の後ろ側に、刑務官に挟まれる形でいすに座った被告は、検察が事件のいきさつを説明していた際、両耳を手でおさえて目をつぶり、下に顔を向けていました。

また、時折、スーツのそでで目元をおさえるような様子も見られました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231025/amp/k10014236661000.html

くらい言えばいいのにな