【米国】コロナワクチン接種加速へアメからムチへ、接種を義務づける企業や地方政府が急増・・ハワイ州 「接種を受けない職員は解雇も」

米国で新型コロナウイルスのワクチン接種を促す取り組みが「アメ」から「ムチ」へと軸足を移しつつある。
これまで現金などの特典を多用してきたが、違反時の解雇や罰則を前提に接種を義務づける企業や地方政府が急増している。

背景にあるのは感染力の高いインド型（デルタ型）による感染爆発への危機感だ。

米ユナイテッド航空は6日、全米の拠点に所属するすべての従業員に接種を義務づけると通知した。
米食品医薬品局（FDA）がワクチンを正式承認した場合にその5週間後、または遅くても10月25日というのが期限。全米の大手航空会社で初めての試みとなる。

「全員が接種すれば全員がより安全になる」。スコット・カービー最高経営責任者（CEO）は従業員への手紙で、
一部の従業員から反対を予想していると明らかにしたうえで義務づける利点を強調した。

米食肉大手タイソンフーズは3日、全従業員に完全な接種を義務づける方針を発表した。
マイクロソフトも9月から、従業員や取引先などが職場に入る際に接種証明を求める。

グーグルやフェイスブックなども出社する従業員に義務づける方針だ。

地方政府でも接種の義務づけが相次ぐ。ハワイ州や南部バージニア州などは5日、州の職員に接種証明を求めると発表した。
未接種者には毎週のコロナ検査を課す。ハワイ州の場合、接種を受けない場合の解雇も辞さない。

西部カリフォルニア州は5日、州職員に加え、医療施設で働く人にも接種を求めた。

カリブ海の米自治領であるプエルトリコは当局と取引する企業、ホテルの宿泊客・従業員などにも接種を求め、
従わなかった場合は罰則として5000ドルか禁錮6月があり得るという。

バイデン大統領も7月末、連邦政府職員に接種状況の開示を義務づけると発表している。
未接種者には週1～2回の検査やマスク着用を求める。連邦政府の取引企業にも同様の措置を求めている。

米国ではこれまで接種のインセンティブは、無料のドーナツや野球の観戦チケット、現金といった特典の進呈が中心だった。
米国では接種するかどうかはあくまで個人の判断とする見方が根強いためだ。

米雇用機会均等委員会（EEOC）は5月、企業からの求めに応じ、雇用主は従業員に接種を要求できるとの指針を改めて示した。
それでも従業員からの訴訟リスクなどを懸念し、義務づけの動きは増えなかった。

ここにきて義務づけが広がる背景には、デルタ型による感染の急増がある。米ジョンズ・ホプキンス大のまとめによると、
5日の新規感染者数（7日移動平均）は約9万8000人。1カ月前に比べて8倍超になった。

デルタ型が新規感染の9割超を占め、経済回復の足かせになるとの警戒感が強まっている。

なかでも接種率が低い地域での感染増が鮮明だ。ホワイトハウスによると、南部フロリダや南部テキサス、
南部ミズーリなど接種率が低い7州で先週、全米の新規感染者、入院患者の半数を占めた。

未接種者の感染増や重症化の傾向が明らかになるにつれて、全米のワクチン接種ペースも増加に転じた。

接種方針に従わない従業員への対応は今後、課題になりそうだ。

米CNNは6日までに、未接種のまま出社した従業員3人を解雇したことが明らかになった。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN06DQS0W1A800C2000000/

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