【核汚染水発言】 輸入制限しながら、日本と米国に接近図る中国の深慮遠謀

ー前略ー
・日本の孤立化が中国の目的

ー中略ー
　地政学的関係から台湾有事に日本が巻き込まれるのは必然としても、何としても米国（や韓国）の加勢は阻止しなければならない。
そのために日本から米国（と韓国）を切り離すのが当面の最大関心事となる。

　米国の政治的混乱を大いに喜んでいるのは中国であり、多分に裏で工作しているに違いない。
早くからその兆候はあり、孔子学院などが閉鎖に追い込まれている。

　中国がウクライナ問題の解決策探究という名目にかこつけて米国接近を図り、
日本の孤立化と同盟の弱体化を企図していることは確かであろう。

　習近平主席が打ち出している構想に人類運命共同体がある。

　戦争になれば地球が破壊され人類は死に直面するので、
何としても戦争を避けて人類の福祉の向上をともに図ろうではないかというものである。

　ロシアが戦術核兵器の使用を匂わせただけで世界が震撼したように、
「核」という用語の使用だけでも世界に多大の心理的影響を与える。

　核廃絶も政治指導者の間で以前より多く声が聞かれるようになりつつある。
そうした空気も取り込んだようにも思えるが、どこまでも覇権を求める手段にしようとしていることに変わりはないであろう。

　そもそも人権意識さえないと見られる国家の指導者の提示する人類運命共同体がいかなるものか精査する必要がある。

・相手に刺さる反論をせよ
　南京事案でも慰安婦事案でも「（そうした事実を示す）資料は発見されていない」としか日本政府は反論してこなかった。

　確かに「なかった」ということを証明するのは難しい。

　将来万一「あった」という資料が出てきたら政府、すなわち日本国家が嘘を言ったことになるわけで、
そうした言質を取られないために用心深い言い方をするのは分かる。

　しかし、相手は（日本の）「無」を「有」と決め付け、しかも「無限大の有」に拡大し「悪徳国家」に仕立てる嘘の常習国である。

　IAEA の検証で安全性が確認されていても、中国は「核汚染水を流し続ける日本」と宣伝して糾弾し続ける。

　そして海産物の輸入を全面的に禁止する。

　日本がいくらIAEAを正面に立て、また放出した処理水の検査結果が安全基準をクリアしていることを公開しても、
中国は歯牙にも掛けない。

　確信犯であるから聞く耳を持たないことは最初から分かっているにもかかわらず、日本政府は「粘り強く説得する」と繰り返す。

　中国の原発排水は日本の処理水より汚染度が高いことはデータで示されているし、専門家たちは知っている。

　しかし、高度の民主主義である日本を見ても国民の多くは知らない。
ましてや言論が統制される中国人民には党の声しか届かないし、世界のほとんどの国民にも真実は届かない。

　そうであるならば、中国の批判は「科学的でない」というばかりでなく、
「中国の原発排水こそがまさしく汚染水だ」くらいの一言をなぜ加えないのだろうか。

　その方が中国人にも世界にもストレートに訴える力があることは自明だ。

　その点では、高市早苗科学技術相が9月にオーストリアのウィーンで開かれたIAEAの年次総会で、
「複数の中国の原発から放出されるトリチウムは、福島第一の処理水で放出されるトリチウムの5倍から10倍に上がる」
（「産経新聞」10月1日付「主張」）と指摘した点が光っている。
ー後略ー
森 清勇

全文はソースから
JBpress　2023.10.11（水）
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/77360

だから必要最低限の抗議に止めておくしかない