【国際】韓国、株安・ウォン安で非常体制

韓国、株安、ウォン安で産業界非常体制
まずは防疫、だが、貿易依存度高く不安拡大　　

前略

　さて、経済への影響は、どうか。

　もちろん、韓国でもあちこちで出ている。経営危機に陥っている航空会社、観光関連企業、中小零細の飲食店などは、今日明日の資金確保の問題が出ている。

　韓国政府は、11兆7000億ウォン（1円＝11ウォン）規模の追加予算を編成し、特に、被害が大きい大邱地域に集中投入することなどの手を打っている。

●初の0％台基準金利

　また、韓国銀行（中央銀行）は3月16日に異例の臨時金融通貨委員会を開き、基準金利を0.5ポイント引き下げて0.75％にした。

　韓銀が臨時金融通貨委員会を開催するのはリーマンショック時の2008年10月以来。また、基準金利が0％台になるのは史上初めてのことだ。

　財政拡大と金融緩和・・・打つ手は何でも打つという姿勢だが、韓国ならではの悩みも深い。

　ある経済閣僚経験者は話す。

「韓国はGDP（国内総生産）の40％を輸出が占めるほど貿易依存度が高い。新型コロナがこれほど世界中に拡散すると、他国よりもさらに大きな影響を受けざるを得ない」

　韓国の産業界はまず警戒するのは、株安とウォン安の急速な進行だ。

●株安ウォン安

　貿易依存度が高い点などを嫌気して、3月に入って外国人の韓国株売りが続いている。2月17日に2242ポイントだった総合株価指数は、3月18日は1672ポイントとなった。

　株安と連動しているのがウォン安だ。2月17日は1ドル＝1183ウォンだったが、3月18日は1ドル＝1243ウォンで10年来安値になった。

　平時ならば、ウォン安は輸出企業に追い風になる。

　だが、世界経済が低迷している状況では、輸出増加は期待できない。逆に外貨建て借入金の償還問題など信用問題が起こりかねない。

　利下げ効果も読み切れない。

　ある財閥役員は「これまでも金余り状態で、利下げで投資を増やそうという雰囲気ではない。下手をすると、沈静化の兆しがあった国内不動産の高騰が再燃しかねない」と話す。

　もっとも、防疫体制についても、経済対策についても、韓国政府の対応は、それなりの評価を得ている。

　大邱で感染者が大量発生した際には、ソウルへの拡散を懸念する声もあったが何とか食い止めている。

　財政出動と利下げなど打つべき手は打っている。

「最大の経済政策は感染者拡大を防ぐこと」

　このことは韓国でも同じだ。韓国では、こうした新型コロナとの戦いが続く中で、総選挙が行われる。

　4月15日の投開票だが、3月18日現在では、延期の動きはない。あと1か月。新型コロナ対策の正念場の時期に総選挙を迎える。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59790