【中韓】 日本は嫌いだが、文化は良い～中国で東野圭吾作品の演劇を鑑賞してみた

▲演劇の場面。ⓒウィークリーソウル/リュジヨン記者

▲「虚無の十字架」演劇票。ⓒウィークリーソウル/リュジヨン記者

10月最後の金曜日、中国で意外にも東野圭吾に会った。彼の小説<虚無の十字架>の演劇公演を通じてだ。

毎朝、蘇州大の語学堂に行くために地下鉄の駅に隣接した文化芸術中心(センター)の前を通る。文化芸術中心に近づけば屋外広告看板に非常に大きく貼られた各種公演広告がいやでも目に入る。確かに広告効果はあるといわなければならない。
（中略：文化芸術中心の説明。）

蘇州で初めて見たコンサート公演の余韻にひたりながら公演会場を出てロビーに貼られた次の公演の案内板を見ると、「東の簡体字と十字架が描かれたポスターを見て、瞬間的に東野圭吾の作品であることが分かった。事実、筆者は東野圭吾の熱狂的ファンだ。韓国で出版されたすべての作品を読んだと言っても過言ではない。だから遠い昔に読んだ作品だが虚無の十字架の内容もぼんやり思い出した。

初めて演劇ポスターを見て思ったことはいぶかしさだった。日本作家の小説が中国で演劇で公演されるのか？我が国も日本の小説がよく売れる市場で、日本マンガ本やアニメ映画など非主流を越えて広く人気があるが、公演界では日本作品を特に見たことがないという気がした。

あくまでも筆者の仮説だが、韓国人なら誰でも知らず知らず持っている日本に対する敵意の産物ではないかと推察する。

日本は嫌いだが本や映画は自分の嗜好を公的にあらわすことなく一人で鑑賞できる文化商品だ。しかし、公演は？一つの席に集るだけで自分の嗜好があらわになる。ディズニー映画が好きという言葉に特別な先入観はないが、日本アニメ映画が好きだと言えばオタク、フィギュア、コスプレなど特定のイメージが先に思い出される場合を考えてみよ。

とにかく好きな作家の作品で中国の演劇表現はどうなのかも気になって、果たして初歩である筆者の中国語でどれほど分かるか気になって悩んだ末に切符を買った。
（中略：公演の内容。公演の客席占有率が70%を越えることに驚く）

二時間の休みない公演の終わりに演劇は幕を下ろした。忙しい公演会場を後にして中国で日本小説はどれくらい売れるのか気になった。これについてオンライン書店1位である京東(ジンドン、タオバオと二大山脈を成す中国最大のオンライン書店)を調べた。現在の小説分野のベストセラーリストを見ると驚くべきことに東野圭吾の作品が9位(沈黙のパレード)/11位(ナミヤ雑貨店の奇跡)/13位(白夜行)、村上春樹の作品が12位(ノルウェーの森)を占めていた。

続けて出版市場規模を調べた。2019年、中国の図書小売り市場規模は1022.7億中国元、このうち文学類は104.2億中国元で全市場の10.9%を占める。文学分野で外国小説が占める比重は約25%程度という。ベストセラー作家100人中69人は中国人で、外国人作家では日本とアメリカ/英国の順に多いというと我が国と似たように日本小説がよく売れていると見なければならない。特に昨年ベストセラーリストに載った14冊の日本作品のうち東野圭吾の作品だけで6冊だから中国人の東野圭吾愛は特別なようだ。

しかし、百度(バイドウ）で「中国人が最も嫌いな国家」と打てば、検索結果に「日本」がぞろぞろ浮かぶ。すなわち、日本は嫌いだが文化は良いという意味だ。

中国で上手くやっている日本小説を見ると一方では惜しい感じがした。中国にとって明らかに韓国の方が日本より近い国のはずなのに、私たちの文学はまだあまり紹介されていなかったという物足りなさだった。筆者さえ中国にくる前は中国人の文化や人生についてほとんど知らなかったが、(韓国で出版された)中国小説を何冊か読んで見たら彼らの結婚生活や葛藤模様などが韓国と本当に似ている感じを受けたこと思い出した。

明らかに共感を持つ多くの作品があるはずなのに、どの分野であっても中国に入ってきてもう少し韓国を知らせる契機になれば良いと思う。

リュ・ジヨン記者

ソース：ウィークリーソウル（韓国語）日本は嫌いだが、文化は良い[連載]リュジヨン中国適応記「焼酎万里」
http://www.weeklyseoul.net/news/articleView.html?idxno=55958