【Ｇ７で日本だけまだ…】 セキュリティ・クリアランス制度の早期法制化を 導入している国との情報共有の障害に

セキュリティ・クリアランス制度（ＳＣ制度）とは、政府が安全保障などに関わる機密情報にアクセスできる資格者を認定する制度だ。

Ｇ７（先進７カ国＝米国と英国、日本、ドイツ、フランス、カナダ、イタリア）で、ＳＣ制度を導入していないのは、日本だけである。
米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの５カ国は、ＳＣ制度を導入し、
機密情報を共有する枠組み「ファイブ・アイズ」を構成している。

今年８月、高市早苗経済安全保障担当相は、ＳＣ制度の法制化に向け、
「何が何でも来年の通常国会提出ということを目標に頑張っている」と述べ、経済安全保障推進法改正案を提出すると明言した。

安全保障上最大のリスクとは、敵工作員が、軍民両用の最先端技術である「人工知能」や「量子コンピューティング技術」などの
重要情報に不正アクセスして盗み出すことである。
そこで、重要情報を機密度の高いものから低いものまで仕分けをし、誰がどのレベルの重要情報を閲覧してよいかを区別することが必要になる。

中国には国家情報法があり、すべての中国人は、国によるスパイ活動へ協力する法的義務を負う。
同法の第７条は「いかなる組織及び国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行い、
知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない。
国は、国家情報活動に対し支持、援助及び協力を行う個人及び組織を保護する」と規定する。

彼らから機密情報を守るためにもＳＣ制度導入が必要だ。

重要情報にアクセスできる者が、ハニトラ、ビジトラなどにかかり、国を裏切ることも想定されるので、
情報漏洩（ろうえい）リスクがないかを調べることが必要となる。

ＳＣ制度の資格認定が必要になるのは、政府関係者、国会議員や政府と商取引する可能性のある民間人だ。
女癖、酒癖、賭博依存症、薬物依存症、借金、交友関係、外国との関連、帰化しての時間、二重国籍などの調査が行われ、
問題がなければ、ＳＣ資格が認定される。

ＳＣ制度を導入しないと、同制度を導入している国との情報共有ができなくなり、日本企業がビジネスを行ううえで不利な立場に置かれる。

現在、ＳＣ制度のないわが国で何が起きているか。

２０１６年、第３次安倍晋三内閣は、対北朝鮮の独自制裁を閣議決定した。
その中の１つが、北朝鮮の核・ミサイルへ協力した在日本朝鮮人科学技術協会に所属する５人の研究者に対する再入国禁止措置だった。

５人の中には、原子炉物理と原子力教育、核兵器の小型化に応用できる研究を行っている研究者がおり、
配偶者の親は外事警察がマークする北朝鮮関係者とされる。
核兵器に応用できる技術へアクセスできる者には、国家安全保障の観点からもＳＣ資格が必要だ。

ＳＣ制度の法制化に反対する国会議員もいるが、何かＳＣ制度導入で困る理由があるのだろうか。
一日も早くＳＣ制度を導入する経済安全保障推進法改正案を成立させることが必要だ。　＝おわり
■平井宏治

2023.11/6 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20231106-6EQV6UTKJ5IPLPGVDGLYA3PSGU/

「スパイ防止法」も同じことで、「痴漢防止法」がないから日本は痴漢天国と言ってるようなもの