【農作物】「プチぜいたくランチに…」ブランドイチゴ苗販売で摘発　家庭菜園でも苗譲渡は許可必要

「プチぜいたくランチに…」ブランドイチゴ苗販売で摘発　家庭菜園でも苗譲渡は許可必要
2023/11/23 08:00　産経新聞
https://www.sankei.com/article/20231123-PSHYHD76K5PEXLYJTOENQ77WXA/

東京都開発のブランドイチゴ「東京おひさまベリー」の苗を無許可で販売したとして、警視庁が今月、種苗法違反容疑で女を書類送検した。ブランド農作物を巡っては海外流出が相次いだことから、政府が種苗法を改正し規制を強化。ただ、今回のようにインターネット上で安易に販売されている例もあり、政府や警察当局は警鐘を鳴らしている。

苗を購入、自宅で

「（売上金は）自分へのごほうびとして、プチぜいたくランチに使った」

東京おひさまベリーの苗をフリーマーケットアプリで許可なく販売したとして今月１日、警視庁生活環境課に書類送検された千葉県大網白里市の５０代の女は、調べに対しこう供述したという。

女はホームセンターで苗を１株２００円で購入し、自宅の庭で株を増やし、アプリで出品。令和４年３月から５年４月までの間に１０１株を販売し、計約４万円を売り上げたとみられる。

種苗法は、登録品種の苗の無許可販売を禁じている。女は販売が違法との認識自体はあったとみられ「東〇お〇さ〇ベリー」と、品種名の一部を伏字にして販売を継続。

一方で「種苗法違反なんて聞いたことない。注意されるだけよね」と、たかをくくっており、購入者から高い評価や感謝を受けることで、充実感も得ていたという。

海外流出に危機感

農作物の品種開発には、多大な年月とコストがかかる。東京おひさまベリーも約２０年かけて開発されたといい、研究に携わった都農林総合研究センターの担当者は「品種には権利があることを知ってもらいたい」と強調する。

種苗の海外流出は大きな問題となっている。韓国や中国に流出したブドウ「シャインマスカット」は、韓国からの輸出量が日本からの輸出量を上回っているほどだ。

こうした問題に手を打とうと、登録品種の海外持ち出しなどを制限する改正種苗法が令和４年までに施行された。農林水産省は警察と連携し、インターネット上で販売を行う者がいないかなどのサイバーパトロールにも力を入れてきた。

今回販売された東京おひさまベリーは、海外への流出は確認されていないが、農水省の担当者は「増殖や無許可の販売は監視しないと、海外流出の大本になる」と危機感をあらわにする。

最近では新型コロナウイルス禍の影響もあってか、家庭菜園を楽しむ人が増えたといい、担当者は「『家庭菜園ならいいだろう』と軽い気持ちでネットで苗を販売する人も多い」と語る。

「楽しみの範囲で」

自宅などで個人が登録品種を栽培する際、どんなことに注意が必要なのか。

農水省によると、増やした苗を他人に譲渡することは有償、無償を問わず許可が必要で、増やした苗からできた収穫物も同様だ。

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